労働条件の明示に関して

今日は労働条件の明示に関して記載をしていこうかと思います。

 

 


【労働基準法第15条】労働条件の明示とは?

今回は労働基準法第15条で定められている「労働条件の明示」について、まとめていきます!


■ 労働基準法第15条の条文とは?

まずは基本の条文から確認しましょう。

第15条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約を締結する際に、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
また、その明示は、労働者の希望があれば書面で交付しなければならない(現在は原則として書面または電子的な方法での交付が義務)。


■ いつ、どのように労働条件を明示するの?

労働契約を結ぶときには、必ずその内容を労働者に明示する義務があります。
曖昧なまま働き始めてしまうと、後からトラブルになることも多いため、法律でルールが決められているのです。

📌 明示のタイミングは「労働契約の締結時」

つまり、働き始めるに明示が必要です。

📌 明示の方法

現在は原則として、以下のいずれかの方法で行います。

  • 書面(紙)
  • 電子メールやクラウド共有などの電磁的方法(電子交付)

※口頭だけの明示は原則NGです。


■ 明示すべき労働条件の内容(絶対的明示事項)

労働条件通知書や雇用契約書に必ず記載しなければならない事項があります。これを「絶対的明示事項」と呼びます。

以下はその代表例です。

明示事項 内容の例
労働契約の期間 有期か無期か、開始日・終了日など
就業場所・業務内容 配属先・仕事内容の詳細
始業・終業時刻、休憩時間など 所定労働時間やシフト制などの有無
賃金の決定・支払い方法 時給・月給の額、支払い日、控除項目など
退職に関する事項 解雇の条件・手続き、自己都合退職の方法など

■ 相対的明示事項・任意的明示事項って何?

✅ 相対的明示事項

就業規則などで定めがある場合は、明示が必要になる項目です。

  • 昇給に関する事項
  • 賞与や退職金制度
  • 休職制度など

✅ 任意的明示事項

必ずしも明示義務はないけれど、できる限り記載すべきものです。

  • 福利厚生(社宅、資格手当など)
  • 交通費支給の詳細 など

■ 明示を怠るとどうなる?

労働条件をきちんと明示していない場合、トラブルの元になるだけでなく、行政指導や是正勧告の対象になることもあります。

また、条件の説明に嘘があった場合(たとえば「賞与あり」と言いながら実際は支給なし)、労働者は即時に契約解除できる権利を持ちます(労基法第15条第2項)。


■ 実務でも社労士試験でも重要!

社労士試験でも、「絶対的明示事項」「明示方法」などがよく問われます。
たとえば、**「口頭での明示は有効か?」「電子メールでの交付は可能か?」**などのひっかけ問題も出やすいポイントです。

一方で、実務でも労働条件の明示がしっかりされていないことでトラブルが起こる例は非常に多いです。


■ まとめ:働く前に“きちんと伝える”のが基本!

労働条件の明示は、働く人が安心して仕事を始められるようにするための、大切なルールです。
企業側も、誤解やトラブルを防ぐために、契約時の説明を丁寧に行い、書面等で証拠を残すことが重要です。

 


過去問
Q1:使用者は、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の際に、労働者に対して、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項を、書面の交付により明示しなければならない。なお、本問においては、労働者が希望した場合の書面の交付に代わる明示の方法のことは考慮しなくてもよい。

A1:○   労基法15条1項 労基則5条1項 平成24年基発1026第2号
設問のとおり。労働条件の明示事項は「期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満
了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合」に限って、明示しなければならないも
のとされている。また、明示する場合には「当該事項が明らかとなる書面を交付すること」によって
行うこととされている。なお、書面の交付により明示しなければならない労働条件の明示の方法につ
いて、労働者が希望した場合には、書面の交付に代えて、ファクシミリや電子メール等の送信の方法
により行うことができる。

Q2:労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。

A2:×   労基法15条 労基則5条3項 平成11年基発45号
当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し
支えない(当然に、就業規則に記載されていない部分は別途明示が必要である)。

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