労働契約の効力と契約期間②

今回は主に第14条の労働契約に関して、勉強をしていければと思います。


【労基法第14条】労働契約の期間ってどう決める?

 

■ 労働基準法第14条とは?基本の条文を確認!

第14条(契約期間)
労働契約の期間は、原則として3年を超えてはならない。ただし、次のいずれかに該当する場合は5年まで可能。

  • 専門的な知識・技術・経験を有する労働者(省令で定める職種)
  • 60歳以上の労働者

また、日雇労働契約試用期間についても一部特例があります(後述)。


■ 契約期間には2種類ある

まず前提として、労働契約には以下の2つの形があります。

① 期間の定めのない契約(無期契約)

正社員などに多い形態で、雇用終了の期限が決まっていない契約です。
解雇の自由は制限され、安定した雇用関係が基本になります。

② 期間の定めのある契約(有期契約)

アルバイトや契約社員、派遣社員に多く、雇用期間に終期が定められている契約です。
更新を繰り返すケースも多く、「雇い止め」の問題が発生しやすくなります。


■ 有期契約の原則:3年が上限!

有期労働契約は、原則として3年を超えてはならないとされています(労基法第14条第1項)。

これは、使用者による長期間の「不安定な雇用状態の維持」を防ぐためです。

▼ 例外:5年まで可能なケース

以下のようなケースでは最長5年までの契約期間が認められています。

✅ 高度な専門職

  • 医師、弁護士、大学教授、システムエンジニアなど
  • 専門的知識・技術・経験を有する者として省令で定められた職種に限られます

✅ 60歳以上の労働者

  • 高齢者雇用安定法の観点から、60歳以上は柔軟に対応できるよう、契約期間は5年まで可能です

■ 実務で重要な注意点

📌 契約期間が1年未満でもOK?

原則的には、期間の定めがあれば1日でも契約は可能です。

しかし、**あまりに短期(例:1か月契約を毎月更新)**などは、労基署から「形式的な契約更新を繰り返している」と判断される恐れがあります。

📌 更新を繰り返していると…

契約更新を繰り返している場合、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。

  • 実質的に「無期契約」と認定されることもある
  • 雇い止めが解雇と同じレベルの扱いになる(正当な理由が必要)

■ 無期転換ルール(労働契約法第18条)も重要!

有期契約の回数や年数が増えてくると、**「無期雇用に転換する権利」**が発生します。

● 同一の使用者との有期契約が通算5年を超えた場合
→ 労働者が申し出ることで、無期労働契約に転換できる!

これは労働契約法第18条で定められており、社労士試験でも頻出です。


■ 特例:試用期間や日雇いの場合は?

🟧 試用期間中の有期契約

たとえば「3か月の試用期間」という契約はよく見られます。これも有期契約の一種ですが、その後に無期契約へ移行する前提であれば問題ありません。

ただし、「試用期間終了と同時に自動終了」とする場合は、契約書で明示しなければ無効になることもあります。

🟧 日雇労働契約の特例

日雇いのような短期雇用契約(30日以内)も第14条の対象になりますが、労働者保護の観点から注意が必要です。


■ 社労士試験で問われやすいポイントまとめ

  • 有期契約の期間上限:原則3年、例外で5年
  • 専門職・60歳以上は5年までOK(省令で定める)
  • 無期転換ルールとの関係性(通算5年ルール)
  • 契約更新の実態が重視される(形式だけではダメ)

特に無期転換の「5年ルール」と14条の「3年制限」の混同には注意!


■ まとめ:契約期間は法律でしっかりと管理されている!

労働契約の期間は、企業の裁量だけで自由に設定できるものではありません。
労働者の安定した雇用を守るための仕組みが、労働基準法14条にしっかりと定められているのです。

試験では「例外ケース」や「更新と実質無期」のような応用がよく問われます。
実務でも「何となく短期契約を繰り返す」ような運用は避けましょう。


過去問

Q1:使用者は、労働者が高度の専門的知識等を有していても、当該労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に就いていない場合は、契約期間を5年とする労働契約を締結してはならない。

A1:○   労基法14条1項
設問のとおり。なお、設問の労働者が、満60歳以上であれば、契約期間の上限は5年となる。

Q2:一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、1年を超える期間の定めのある労働契約を締結した労働者(労働基準法第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から6か月を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

A2:×   労基法附則137条
「6か月」を「1年」にすると正しい設問となる。従来は労働契約の期間の上限が1年とされていた
有期労働契約者について、長期の身分拘束を避けるために設けられた経過措置である。

Q3:契約期間の制限を定める労働基準法第14条の例外とされる「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかな場合であり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。

A3:○   労基法14条1項
設問のとおり。たとえば4年間で完了する土木工事において、技師を4年間の契約で雇い入れる場合
のように、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかである場合であって、その事業の終期
までの期間を定めて契約することが必要である。

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