解雇予告の除外とは?
今回は、労働基準法の中でも頻出のテーマである「解雇予告の除外」について勉強します。社労士試験ではもちろん、実務でも知っておきたい重要なポイントが多いので、一緒に学んでいきましょう。
そもそも「解雇予告」とは?
労働基準法第20条では、使用者が労働者を解雇する際には、少なくとも30日前に予告をするか、もしくは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなければならないと定められています。これが「解雇予告制度」です。
しかし、すべてのケースにおいて解雇予告が必要になるわけではありません。一部の例外(=除外)が設けられているのです。
解雇予告の除外とは?
以下の2つのパターンに該当する場合、労働基準監督署長の認定を受けることで、解雇予告が不要とされます。
① 天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となった場合
たとえば、大地震や津波などの自然災害(天災)、または戦争・暴動といった事変などによって、事業自体が継続できなくなったようなケースです。
このような非常事態では、予告する余裕すらないことがあり、解雇予告の義務は免除される可能性があります。
・「やむを得ない事由」に該当するかどうかは、労基署の判断が必要。
・事業の一部ではなく「継続が不可能」であることが要件。
② 労働者の責に帰すべき事由により解雇する場合
こちらは、労働者に重大な問題行動があった場合です。例えば、
- 横領や窃盗などの刑事罰に相当する行為
- 無断欠勤が長期間に及ぶ
- 業務命令への執拗な拒否
ただし、「労働者の責に帰すべき事由」と認められるには、それ相応の証拠や事情が必要です。単なる業務ミスや成績不良では除外にはなりません。
・即時解雇(懲戒解雇)であっても、除外には労基署の認定が必要
・「客観的に正当と認められる理由」が求められる
注意!労基署の認定が必要
この「除外認定制度」は、使用者が勝手に判断して適用できるものではありません。労働基準監督署長の事前認定が必要です。
申請時には以下のような資料を提出します:
- 解雇する理由
- 労働者の勤務態度の詳細
- 関係資料(就業規則、出勤簿など)
これらを基に審査され、認定を受けた場合に限って解雇予告が不要となります。
試験対策のポイント
- 除外に該当する具体的なケースの判別
- 労基署の認定が「必要/不要」の区別
- 平均賃金との関連(予告手当支給義務)
「除外される=当然に解雇してよい」わけではないという点に注意しましょう。
あくまで例外的な措置であり、行政の認定が前提です。
まとめ
解雇予告の除外は、「やむを得ない事由」または「労働者の重大な非行等」によって認定される、あくまで例外的な制度です。
社労士試験では、労働者保護の原則とのバランスを理解することが求められます。
ブログを通じて、こうした知識を一緒に深めていきましょう!
過去問チェック
Q1: 日日雇い入れられる者については、労働基準法第20条に定める解雇予告に関する規定は適用されることはない。
A1:×(労基法21条1号)
日日雇い入れられる者であっても、1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は解雇予告が必要です。
Q2: 労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試の使用をされている者には適用されることはない。
A2:×(労基法21条ただし書)
試の使用期間中の者であっても、14日を超えて引き続き使用される場合は、解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要です。
次回は退職に関して学んでいければと思います。
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