今回は男女同一賃金に関して記載をしていこうかと思います。
1. 男女同一賃金の原則とは?
「男女同一賃金の原則」とは、性別を理由として賃金に差をつけることを禁止する原則です。これは、日本の労働基準法および男女雇用機会均等法に明文化されています。
法的根拠:
- 労働基準法第4条
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをしてはならない。
- 男女雇用機会均等法第6条(差別的取扱いの禁止)
事業主は、労働者の募集・採用・配置・昇進・教育訓練・福利厚生・定年・解雇などについて、性別を理由とした差別をしてはならない。
この原則により、性別のみを理由として賃金を異ならせることは禁止されています。
2. 具体的な適用範囲
男女同一賃金の原則は、以下のような場面で適用されます。
(1) 基本給・賞与・手当
- 基本給が同じ職務・能力・成果のもとで男女間に差がある場合、違法となる可能性が高い。
- 役職手当、資格手当、皆勤手当、住宅手当なども、性別を理由に支給額を変えることは不可。
(2) 昇給・昇進
- 昇給・昇進の基準が性別によって異なる場合、違反となる。
- 例:「女性は家庭の事情で長く働かないかもしれない」という理由で昇進させないのは違法。
(3) 福利厚生・退職金
- 退職金や育児休業など、男女間で差をつけることは不可。
- 例:「女性は寿退社が多いから退職金を低く設定する」といった制度はNG。
3. 「職務内容」が異なる場合の違い
性別ではなく、職務内容や能力、成果によって賃金に差をつけることは可能です。
(1) 適法な賃金格差の例
- 職務内容が異なる(営業職と事務職、技術職と一般職など)
- 勤務地や転勤の有無が異なる
- 成果・貢献度の違い(業績やスキル差による賃金差)
(2) 違法となる可能性がある例
- 形式的に同じ職種でも「女性社員は補助的業務しかさせない」など、実質的に性差別があるケース
- 「男性は外回り営業、女性は内勤のみ」など、役割を固定している場合(実質的な差別)
4. 同一労働同一賃金との関係
近年の「同一労働同一賃金」との関係も重要です。
- 男女同一賃金の原則は「性別による賃金差別の禁止」
- 同一労働同一賃金は「正社員・非正規社員の不合理な待遇差をなくす考え方」
つまり、男女同一賃金の原則は「男女の違いによる差別を防ぐ」のに対し、同一労働同一賃金は「雇用形態による不合理な賃金格差をなくす」ためのものです。
5. 企業の対応と罰則
企業がこの原則を守らない場合、どのような問題があるのでしょうか?
(1) 労働基準監督署の指導・勧告
- 労働者からの申告があると、監督署が調査を行い、是正指導を出すことがある。
(2) 訴訟リスク
- 違法な賃金差別を受けた労働者は、損害賠償や未払い賃金の請求が可能。
(3) 社会的信用の低下
- 男女差別を行う企業は、ブラック企業としてイメージが低下し、採用・取引に影響が出る可能性がある。
6. まとめ
- 男女同一賃金の原則は「性別を理由とする賃金差別の禁止」。
- 適法な賃金差は、職務内容・成果・スキルの違いによるもの。
- 企業は、賃金体系を明確にし、不合理な男女格差をなくすことが求められる。
実例過去問
Q1:労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。
A1:○ 労基法4条 119条
設問のとおり。労基法4条に違反した場合には、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処せ
られる。
Q2:労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
A2:○ 労基法4条 平成9年基発648号
設問のとおり。女性を有利に取り扱うことも、差別的取扱いに該当する。
Q3:労働基準法第4条が禁止する「女性であることを理由」とした賃金についての差別には、社会通念として女性労働者が一般的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることが含まれるが、当該事業場において実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることは含まれない。
A3:× 労基法4条 平成9年基発648号
女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として賃金に差別をつけることも差別的取扱いに該
当する。
今日はここまでにします。
次は公民権行使の保障に関して記載が出来ればと思います。
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